共鳴する。
歌が、眠る私を揺り起こす。
貴女と私の心が重なり合った瞬間、私の中に流れ込んできた想い。
それは、空を奔る稲妻よりも鮮やかな光をまとって、とどろく雷鳴よりも体中を駆け巡り。
大切な、大切な人に届けたかった…、そして届かなかった想い。
歌の翼に乗って、光が世界中にあふれ出す。どこへでも飛んでいけるはず。
1000の言葉
I can do anything now from TIYU_7THEME
届けなくちゃいけない。そうでなければ悲しすぎる。
淵の底を覗きこむ私の目にも、見えるよ。全てを憎み、世界を闇に染めようと、深遠で待ち受けるシューインが。憎しみの奔流に身を任せる、哀しい姿が。
間に合って欲しい。取り返しがつかなくなる前に。1000年前の過ちを繰り返さないために。
…影?
教えて。影って誰のこと?
あの人の影なの?
それともあの人自身が影になってしまったの?
影になってしまうほど長い間、独りでずっと泣いていたの?
私のせいだとしたら、彼に何て言ったらいいだろう。
優しくて愚かな、私の大好きな人に、どんな言葉を贈ったらいいだろう。
1000年の間、私は満ち足りていた。後悔なんてこれっぽっちも無かった。でもシューインは同じ気持ちじゃなかった。一人で苦しんでいたんだね。
繋いでいたはずの手がいつの間にか離れてしまっていたように、恋人の苦しみに気づかなかった自分が、今は少しだけ悔しい。
なんて皮肉。争い傷つけあうことを拒んだ私の選択が、誰よりも大切なあの人を一番傷つけてしまっていた。
螺旋を描きながら緩やかに続く深遠への道。下り坂の先は、吸い込まれそうなほどに深い深い原始の闇。
飛ぶように駆けて降りていく貴女の足取りに、脅えは全く無い。
会いたい気持ちが、背中を押して急かすから。
譲れない気持ちが、支え守ってくれるから。
ユウナ…っていうんだね。貴女の名前。
貴女も、大切な誰かを求めてる。
ああ、なんて眩しい。
成層圏の青を閉じ込めた瞳。真夏の太陽みたいに煌らかな笑顔。控えめに繋いだ手から伝わる熱。
あなたの知る彼の全てが、こんなにも鮮やかに。彼と心を重ね合わせた喜びが、こんなにも甘やかに。
忘れることの出来ない、忘れたくない、大切な記憶。
そして会いたいんだね、かけがえのないただ一人に。思い出という名の「此処」にいる彼でなく、「何処か」で貴女を待っている彼に。
その気持ち、応援するよ。誰にも邪魔することなんて出来ない。させない。
かつて一緒に戦った召喚獣が、目の前に立ちはだかる。貴女は戦友に銃口を向ける。トリガーにかけたその指先に、迷いは無い。彼らの、内なる叫びが聞こえているから。私も召喚士の端くれだもの、もちろん聞こえてる。安らかな眠りを欲しがってるのが分かる。
悲しいね。分かってはいるけど、争い傷つけあうことは、やっぱり少しだけ悲しい。
それでも、…私も一緒に戦うよ。迷わない。逃げない。譲れないものを守るための闘いから、目を逸らしてはいけないから。
私達が生きているうちにかなえられなかったこと、貴女には、かなえて欲しい。
大切な人を失いたくない。このささやかな望みが、例え神をも恐れぬ傲慢な願いだとしても、私は、歌わずにはいられない。
だからどうか、世界よ聞いて。祈るように繰り返されるこの声を、どうか受け取って欲しい。
そしてユウナ。貴女は後悔しない道、選んで。
どんなに深遠な闇であろうと、きっと光が眠っているはず。
そして貴女の信じる彼を、光の先にイメージして。
大切な人の胸に、もう一度届けたい。
私があの時言えなかった1000の言葉を、今度こそ光に変えて。
-FIN-
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お久しぶり過ぎの更新です…(土下座)
相変わらず、ティユウって言い張るには、めっちゃ無理無理。もう居直りの境地だ…
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