14. 儀式


 陽だまりの中で、気持ちよさそうに、幸せなあくびを一つ。
 目尻にちょっぴり涙を溜めてるキミの髪も、お日様と同じ色。

 キミが座るソファの後ろに立つと、冬でも豊かなルカの陽射しが背を押す。

 広い肩に手を置くと、命の持つ温度が指先に触れてくる。サファイアブルーの瞳が笑む。
 大きな背中に手を回し、後ろからそっと抱きしめる。
 その手に触れる喜びを確かめながら。

 何よりも大切な人が、スピラという星の一部であることに感謝する。
 キミの記憶をとどめ器に注いでくれた、スピラの全てに感謝する。
 覚悟といえば大げさで、でも、今この瞬間もキミと通い合っている。

 今の気持ち、きっと忘れない。
 この腕に抱く、わたしだけの太陽。





 ふわりと巻かれた、華奢な両腕。首筋に感じる吐息、立ち上る花の香り。
 ユウナの繰り返す、小さな儀式。
 あの時すり抜けてしまった背中を、もう二度と離さないって誓うみたいに。
 恐れなんかじゃない。不安でもない。
 何があっても大丈夫。もう決して消えたりしない。お互いに想い合う限り。

 だからオレも誓う。伸び上がるようにして、優しい微笑みごと抱きしめ返す。
 自分でも知らない間に、口に出してた。
「もう、絶対消えたりしないから」
 根拠はって言えば、それはオレがそう決めたから。
「うん、信じてる」
 ほら、そうやってユウナがオレを信じてくれるから。


 今の気持ち、きっと忘れない。
 この腕に抱く、オレだけの花。




-FIN-
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木っ端短い上に、恥ずかしいポエムっぷりですいません。(逃)


(08/1/6初出 Written by どれみ)
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